Engineering Managerは何人のメンバーを見るべきか?

最近 An Elegant Puzzle: Systems of Engineering Managementを読んでいたら “Sizing teams“ というチームサイズについて解説している節が面白く、自身の経験を振り返りながらこの「何人まで見れるのか」を考えてみた。

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著者のWill LarsonさんはUberやStripeのGrowth期にEM(Engineering Manager)として在籍しており、スケーリング期の実体験を元にチームサイズについて論じている。

6-8人を見るべき、これより多くても少なくてもイマイチ

この本では “Managers should support six to eight engineers” と定義している。結論としてEMは6-8人のメンバーを持つべきだと。面白いのは少なすぎてもダメ出し、多すぎてもダメだという点。

もちろん色々なチームがあってチームによってEngineering Managerに求められる役割は異なってくると思う。この本では担当する人数ベースで例外を2つ示している。

  • Tech Lead Manager: 4人未満
  • Coach: 8-9人

TLM(Tech Lead Manager)は4人まで、Coach(People Management)に専念する場合は8-9人のメンバーをセーフティネットとしてマネジメントすることを推奨している。

ただしあくまで例外で、TLMはマネジメントとしての成長機会を与えることが難しくなりマネジメントのスキルアップを阻害することになる。Coach、つまり8-9人のメンバーを持つことも、より安定したチーム構成への移行期間の間であれば良いが、担当するEMが忙しくなりすぎてしまい望ましいことではないとしている。

これを見て個人的には目から鱗が落ちるようなことはなかった。ただ「そのとおりだよな」と。

最大で10人をEMとして見たことがあるが、10人を超えると1on1を隔週にせざるを得なくなったり、PJも複数となって関われる時間に偏りが出ていた。

おそらく、というよりは実際の経験に照らし合わせると、EMがこれくらいの人数を見ざるを得ないということはPJに対する人員配置に何かしらの課題があるはずだと思っている。均等に目を配らせると言うよりは緊急度の高いPJに多くの時間をケアするようになり、緊急度の低いPJに使う時間は相対的に低くなってしまう。そしてこれがEM本人が意図している/いないに関わらず不公平感を生んでしまう。

言い訳のように聞こえるかもしれないが、これは能力の問題ではなく構造的な問題だと思っている。1on1やコーチングなど、EMはメンバーとの継続的で一貫性のある関わり方が非常に重要だと感じており、そのために見る人数の抑制はSLO(Service Level Objective)的な意味合いで必要になると思っている。

自分も最初はスキルが上がったり工夫次第で人数が増えても対応できるようになっていくものだと思っていたけど、EMにとって何人のメンバーを持つかというのは思っていた以上に重要なファクターであると今は確信している。