プロジェクトをリードする前に読みたかった本
この1年ほど、プロジェクトのリードを任せてもらえるようになりました。2017年の夏くらいから「プロジェクト推進役」→「PJO」→「Tech Lead」, 「Project Lead」など、正式ではないものの「肩書」のようなものがついていますが、実際にやっていることは「プロダクトの成功に向かってプロジェクトを行動で引っ張っていくこと」で統一されています。
これは別に偉くなったとかではなくて、そういう責任を持ってPJに関わる役割だと思って臨んでいますし、実際マネージャーからもそのように言われています。
自分なりに試行錯誤をして時には成功し、時には失敗しながらなんとかかんとかやってきていているのですが、「あー、この本に救われた」とか「ちょっと前にこの本読んでおけばよかった...」という本があったので何冊か紹介したいと思います。
エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
読もう読もうと思って忙しさでなかなか手を付けられていなかったのですが、最近ようやく読むことができました。
何回かプロジェクトのリード含めてマネジメントをやっていると「あ、これいけそう」とか「むー、ヤバい感じになってきたな」とかプロジェクトの状況が肌感で分かるようになってきます。これをもう一段階掘り下げて「なぜそうなのか」が僕の場合はよく分かるようになりました。
エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
- 作者: 広木大地
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は不確実性をエンジニアリングで解決する方法について述べています(と僕は思っています)。
企業活動は、市場に存在する不確実性と、複数人のコミュニケーションの不確実性とを相手にした「エンジニアリング」です。 - P300
いまPMの@kyosu_keとTech Leadとしてタッグを組んで とあるプロジェクトを進めているのですが、2人ともめっちゃ「不確実性下げよう」って言ってます。もはやブーム。
kyosu_keと僕の「不確実性」は若干異なっていて、彼の場合はPM視点での「目的不確実性」のことをよく言っていて、僕は「方法不確実性」のことをよく言っています。
これは「どうやって正しく作るか」が命題であるエンジニアと、「何を作るか」を考えるプロデューサーの視点の違いだな、と思っています。
それからメンタリング、アジャイル、技術的負債など、Web業界だと当たり前の用に使われていながら本質的な意味が取り残されてしまいがちなワードがたくさんあるんだな、ということにも気が付きました。
この本を読んでからの変化としては「可視化」にめちゃくちゃこだわるようになりました。「なんかヤバそう」とかスケジュールに関することは、いつ、どの段階で、何を、何人でやらなければならないのかをビジュアライズして数字に落とし込みます。
ボリューム感が分からないくらいデカいプロジェクトだったら、超ざっくりでも良いから見積もりを出しながら経験則が働く状態に持っていて見積もりのサイクルを回す、というイメージです。
「可視化」はコミュニケーションにも当てはまります。目を見て挨拶するとか、相手の話していることにリアクションするとかは「自分から相手への承認」の「可視化」です。
プロジェクトマネジメントや人とのコミュニケーション全て含めて「エンジニアリングだったんだ」というなんとなく気づきながらエンジニアリングと線を引いていた自分には目からウロコというか言われるまでそう認識することができませんでした。
推進役, PJO, Tech Lead, Project Leadなど肩書は何でも良いのですが、プロダクト/プロジェクトの成功に向かうとき、読んでいくときっと救われると思います。
OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
僕の勤めているメルカリではOKR(Objectives and Key Results)を目標管理システムとして採用しています(OKRについての細かな説明は省略します)。
OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
- 作者: クリスティーナ・ウォドキー,及川卓也(解説),二木夢子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/03/15
- メディア: 単行本
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メルカリに1年半以上働いていながらOKRの仕組みや目標の設定がうまくできず困っていたところにこの本が出るのを知ってソッコーで買って読みました。
Webの記事や会社のwikiなどでOKRの説明を読んでもあまり理解できなかった自分にはこの本が本当にありがたかったのですが、それは「目標設定」の方法が書かれている以上に「運用」の方法がしっかりと書かれていたからです。
- Qのムーンショットな目標を作る(長期)
- フォーカスすることを週ごとに必ず設定する(短期)
- 次の月にできていることをイメージして週ごとに更新する(中期)
- 健全性の指標を作る
本の内容とほぼ同じ通りに以上の4つをマトリックスにして1枚のシートで管理しています。短期的にフォーカスすることと長期的に見据えなければいけないことのバランスがどうしても悪くなってしまうのがプロジェクト進行上の悩みだったのですが、この方法を導入してからあまり悩まなくなりました。
OKRで困っていたらマストで読みましょう。
まとめ
たぶん「リードよろしく」と言われる瞬間は突然来るんじゃないかと思います。他にも読んでおきたい本はあるのですが、実務に影響を及ぼしたのはこの2冊なので、そのときは思い出してみてください。